ビットコイナーが米大統領選を気にもかけない十分すぎる理由

ビットコイン(BTC)
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11月のアメリカ大統領選挙の結果はビットコイン価格にあまり影響を与えないのかもしれない。

どちらが勝ったとしても、数兆ドル規模の経済刺激策が行われる可能性は高く、インフレに対するリスクヘッジとしてのビットコインの価値はさらに高まっていくのだろうか。

トランプ大統領はここ数週間で、4月の2兆ドル(約211兆円)の景気刺激策に続く、新たな支出に対する反対姿勢を翻した。2兆2000億ドル(約232兆円)の景気刺激策を提案した野党・民主党幹部との合意に意欲を見せた。報道メディア「Axios」によると、トランプ大統領は共和党幹部に「大きな合意」を取り付けたいと述べたという。

トランプ大統領が選挙に勝利した場合、景気刺激策のための支出、あるいはFRB(連邦準備制度理事会)による金融政策の緩和を支持し続ける可能性が高い。大統領はこの4年間、景気後退のサインが見られた時にはFRBに金利引き下げを要求する一方で、雇用の拡大と株価上昇の実績をアピールしてきた。新たに減税を推し進める可能性もある。

アメリカの終わりなき赤字

「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、民主党の大統領候補、バイデン前副大統領もすでに教育、住宅、医療、有給休暇、荒廃しつつあるインフラの整備への予算配分を含めた5兆4000億ドル(約569兆円)の公約を発表している。バイデン氏はまた、1兆5000億ドル(約158兆円)にのぼる学生ローンのかなりの部分の返済を免除すると述べている。

こうした支出は、すでに終わりなき赤字のように思える状態に拍車をかけることになる。アメリカ政府の2020年度の財政赤字は、3倍の3兆1000億ドル(約327兆円)となった。FRBは財政赤字を補填するために、今後もドルの増刷を続ける可能性が高いとエコノミストたちはみる。

「経済は手の施しようがなく、政治家は身動きできない状態で、権力を握った党ができることは限られている」とヴォーン・ネルソン・インベストメント・マネジメント(Vaughan Nelson Investment Management)の最高投資責任者、クリス・ウォリス(Chris Wallis)氏はZoomでのインタビューで述べた。

ウォール街のアナリストたちはここ数週間、トランプ大統領とバイデン氏、どちらの勝利が株価にとって良いかを議論している。ビットコインにとって何が良いかを正確に予測する方が簡単かもしれない。

今年、FRBの3兆ドル(約327兆円)の景気刺激策がビットコイン価格を押し上げたと、ほとんどのデジタル資産市場のアナリストが語っている。S&P500株価指数が年初から9.4%上昇しているのに対し、ビットコインは63%上昇している。

予想される追加景気刺激策

モルガン・スタンレーでアメリカ株チーフストラテジストを務めるマイク・ウィルソン(Mike Wilson)氏は10月12日、「誰が選挙に勝ったとしても、第1四半期中には経済回復の継続を確実にするために、おそらくまだ必要となる追加の景気刺激策が行われるだろう」とCNBCに語った。

パンテオン・マクロエコノミクス(Pantheon Macroeconomics)のイアン・シェファードソン(Ian Shepherdson)氏は10月12日、次の経済救済案が2月上旬までに可決される可能性は低い。だが「刺激策はいつか実施され、実施が遅くなるほど、規模は大きくなり」、FRBが追加コストを提供する可能性は高いとレポートで述べた。

「選挙に誰が勝つかなど、市場はまったく気にしていないようだ」と外為・暗号資産リサーチ企業、クオンタム・エコノミクス(Quantum Economics)の創業者、マティ・グリーンスパン(Mati Greenspan)氏は先週、顧客向け文書に書いている。

「投資家が気にかけているのは景気刺激策で、どちらの党も提供する意思は十分にあるようだ」

経済回復までの道のりは長い。9月末時点で約1260万人のアメリカ人が失業中で、この数は新型コロナウイルス感染拡大前の今年はじめの2倍以上になる。そして今、一部の医療専門家たちは、新型コロナウイルス感染拡大の第2波を警告している。第2波は消費者の前向きな気持ちにダメージを与え、生産活動を妨げる新たなロックダウンにつながる可能性がある。

景気回復コストと社会・環境対策コスト

経済を低迷状態から脱却させるためのどんなコストも、収まることのない環境と社会課題に対処するために増え続ける投資とは別のものかもしれない。

米商品先物取引委員会(CFTC)の気候関連市場リスク小委員会(Climate-Related Market Risk)が9月に発表したレポートによると、二酸化炭素排出量を削減し、地球温暖化を抑制するには、2050年までに約110兆ドル(約1京1600兆円)の投資が必要となるという。1年に換算すると、約3兆7000億ドル(約390兆円)となる。

人種差別を解消するためのコストも見込まれている。特定の地域の住民には融資しないなどの金融機関による差別、組織的な投票妨害、警察による差別など、制度化・組織化された人種差別は「多くのアメリカ国民」にとってのチャンスを制限することで、アメリカの経済的潜在力に損害を及ぼすとアトランタ連邦準備銀行のラファエル・ボスティック(Raphael Bostic)総裁は先月、スピーチで述べた。

ブラック・エンターテインメント・テレビジョン(Black Entertainment Television)の創業者、ロバート・ジョンソン(Robert Johnson)氏が引用した研究によると、アメリカの奴隷制度が生み出した損害に対する賠償金は14兆ドル(約1480兆円)と推計されている。

勝者はビットコイン?

ジェローム・パウエルFRB議長は、新型コロナウイルス感染拡大による不況からの回復を推進するために、政府は支出を増やす必要があるという立場を公にしている。パウエル議長は10月はじめ、景気刺激策がさらに展開されなければ、家計や企業はますます「支払い不能」に陥り、「経済の生産能力」に打撃を及ぼす可能性があると述べた。

債券格付け会社のフィッチ(Fitch)は10月12日、投票者は2020年の大統領選挙において経済は最も大切な問題と考えており、どちらが勝利しても約1兆ドル(約105兆円)以上の景気刺激策が実施される可能性が高いとレポートで述べた。

仮に連邦政府が数兆ドルの支出で経済を舵取りしなければ、従来の株式市場、債券市場はすぐに急落する可能性がある。市場の「流動性」の枯渇によって、FRBは月々の資産購入を増やし、緊急貸付を新たに提供することを余儀なくされるかもしれない。現在、FRBは毎月1200億ドル(約12兆6400億円)の米国債と抵当証券を購入している。1年では1兆4400億ドル(約152兆円)となるペースだ。

「現状のサイクルは、FRBによる流動性支援を前例がないほどの規模で必要としており、何らかの理由で世界的な回復がコースから外れた場合は、さらに大幅な流動性支援が必要となる」とドイツ銀行のチーフ・インターナショナル・ストラテジスト、アラン・ルスキン(Alan Ruskin)氏は先週のレポートで述べた。

アメリカ国民にとっての選択肢はトランプ氏かバイデン氏のどちらか。ビットコインはどちらにしても勝者となるのだろうか。

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