数値で見るビットコインマイニングの分散化

マイニング
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アメリカが現在、中国に勝っている業界が少なくとも1つある。ビットコインマイニングだ。

ケンブリッジ大学オルタナティブ金融センター(Cambridge Centre of Alternative Finance:CCAF」)がまとめ、先週発表したデータによれば、中国政府が9月に暗号資産全面禁止に踏み切って以来、ビットコインマイニングの中心地としてアメリカが力を握った。

わずか2年前には、中国がビットコインの全ハッシュレート(ビットコインマイニングに使われる演算能力)の4分の3を担い、一方のアメリカの貢献度はわずか4%だったのだ。今年8月時点では、中国からビットコイナーはいなくなり、アメリカが35%のシェアを誇っている。

アメリカ(黒)と中国大陸(赤)を始めとする各国別の月間ハッシュレート(EH/s)を示すグラフ

過去に繰り返されてきたビットコインマイニングへの批判の1つは、中国の力があまりにも大き過ぎるというものであった。特に過激な人たちは、そのような状態が続く限り、中国政府がマイナーに言うことを聞かせるよう圧力をかけられると主張していた。

それが本当かどうか、今となっては関係がなくなった。中国政府はマイナーを国内から追い出すことで、そのようなチャンスを無くしてしまったからだ。

アメリカの35%にカザフスタンの18%を加えると、ビットコインマイニングの半分以上がわずか2つの国で行われていることになる。これでは、中国が支配的な存在であった頃と同じくらい、ビットコインマイニングが一部に集中しているように見えるかもしれない。

しかし、ある指標を見ると、中国の撤退に伴って、集中の度合いが著しく低下している。

HHIから見えてくるもの

米司法省や連邦取引委員はしばしば、業界の独占度を見極めるために、ハーフィンダール・ハーシュマン指数(Herfindahl-Hirschman Index:HHI)という指標を使っている。

この指数が高ければ高いほど、業界は少数のプレイヤーの手により集中的に握られているということだ。HHIは、各企業の市場シェア(に100をかけた数字)の2乗を足し合わせることで計算する。こうすることで、より大きな市場シェアを握る企業の重みが強調される。

財務省はHHIに基づき、市場を下記の3つに分類している。

  • 非集中型市場:HHIは1500未満
  • 中程度に集中した市場:HHIは1500〜2500
  • 高度集中型市場:HHIは2500以上

規制当局はこの数字を、合併や買収を許可するかどうかを決定する時のツールとして使っている。2つの企業を合わせることによって、中程度に集中した市場のHHIが100ポイント以上高まる場合には、警戒のサインだ。これが高度集中市場の場合には、M&Aなどが実施される可能性は著しく低くなる。

国にHHIを応用?

HHIは通常、業界内の企業を考える時に使われる。それを国ごとの市場シェアに適用するのは、同じ話ではない。

各国内で、多くの企業が市場シェアの小さな部分をめぐって必死に競い合っているかもしれないのだ。1つの企業が複数の国に施設を持つ可能性もあり、比較できないものを比較することになってしまう。

それでも、ビットコインマイニングが国ごとにどれほど集中しているかを見るためにHHIを活用することで、ビットコインマイニングがある一国の政府の気まぐれを生き延びられるほどに分散化しているかどうかについて、知見がもたらされるのは確かだ。

ビットコインマイニングトップ9カ国のHHI
出典:CoinDesk、Cambridge Bitcoin Electricity Consumption Index

中国での暗号資産全面禁止以降のハッシュレートに関して言えば、市場は現在、財務省が言うところの「高度集中」から「中程度の集中」へと集中度を減らしている。

トップ9カ国を使ったHHIは2019年9月、驚きの5774であった。中国のシェアが76%もあったことが原因だ。その1年後、中国のシェアが67%まで下がったのに伴って、HHIも4637まで低下。確かに低くなってはいるが、それでも独禁法の取締官を激怒させるには十分な数字だ。

興味深いことに、大幅な低下は2020年第3四半期に起こった。それは中国が、ビットコインの販売にマイナーがOTC(相対取引)デスクを使うのを難しくした時期である。その年の11月、中国のハッシュレートのシェアは56%まで落ち込み、トップ9カ国のHHIは3306となった。それでも、集中度はかなり高い。

中国がいなくなった今、少なくとも数字上は、HHIは「中程度な集中」というレベルまで落ちた。「中国では間違いなく、隠れてマイニング事業が進行中だが、監視の目を逃れるために小規模なものであるはずだ」と、CCAFのマイケル・ラウチ(Michael Rauch)氏は、ツイートしている。入手可能な最新のデータによれば、8月時点でのトップ9カ国のHHIは1871である。

トップ9カ国以外の状況に興味のある人のために伝えておくと、それらの国々のハッシュレートのシェアが9.4%(これは8月の数字だ)を超えたことはなく、すべての国々をまとめても、最大で89ポイントしか変わらない。

一国がビットコインマイニングをコントロールする可能性についての、政治的な懸念はさておき、ビットコイン支持者たちは少なくとも、集中度の低下を喜ぶべきだろう。ビットコインが金融を分散化することを約束しているなら、それにはマイニングも含まれるべきなのだから。

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