1ヶ月で倍以上になったビットコイン、再び熱気を帯びてきた仮想通貨市場、これから新規に仮想通貨を購入する人も多いはず。値上がりだけに気を取られていては大事な仮想通貨がハッキングの脅威にさらされ盗まれる危険性も。ここでは仮想通貨を保管しておくウォレットについて各種の特徴やメリット、デメリットについて見ていこう。
ウォレットは重要
現金を保管する際、少なからず銀行に預けている人がほとんどだろう。その際には銀行口座を開設し、そこへ保管しておく。また株券を自宅の金庫に置いてある人は今の時代とても少ないだろう。大抵は証券口座で管理しているはずだ。
現金や株を保管しておく銀行口座、証券口座が必要であるように、仮想通貨にも保管・管理しておく際には「ウォレット」と呼ばれる仮想通貨のための保管場所が存在する。
仮想通貨ウォレットとは?
仮想通貨はデジタルのデータとして存在するものであり、購入すれば必然的に「ウォレット」が必要となる。
ウォレットは仮想通貨を保管しておく「財布」のようなものと考えると分かりやすい。保管しておくだけでなく、仮想通貨の送金・受け取りにもこの「ウォレット」が必要となる。
取引所内で保管することも出来る
仮想通貨を買ったり、売ったりと取引するには仮想通貨取引所を利用する。実は仮想通貨を購入した後には自分の作成した「ウォレット」ではなく「取引所に保管」しておくことも可能だ。これは取引所のウォレットであり、仮想通貨取引所が管理してくれている。
仮想通貨を購入すると、取引所の画面に自分の保有している仮想通貨数量が表示され、「取引所のウォレット」に保管しているという感覚は薄いかもしれない。わざわざそのウォレットへ保管する為の手続きも必要ない。自動的にそこへ保管されるのだ。
「取引所ウォレット」で仮想通貨を保管しておけば、インターネットに接続できる環境にあれば、パソコンやスマートフォンなどのデバイスから簡単に取引利用できることがメリットだ。
しかし、取引所がひとたび破綻してしまうと自分の保有している仮想通貨が返金して貰えないリスク、または取引所がハッキング被害に合った場合に自分の仮想通貨が盗まれる恐れがあることがデメリットになる。
そのリスクを回避したい場合や、頻繁に取引を行なわない人は、取引所から通貨を「自分のウォレット」へ送信して管理することを推奨する。
ウォレットには5種類ある
仮想通貨を保有する「ウォレット」は大きく分けて「ホットウォレット」と「コールドウォレット」の2種類に分けられる。
インターネット上に作られたウォレットが「ホットウォレット」であるのに対し、インターネットから完全に切り離されたウォレットを「コールドウォレット」と呼ぶ。
さらに細かく分けるとホットウォレットには、「ウェブウォレット」「モバイルウォレット」「デスクトップウォレット」が存在する。
また、コールドウォレットには「ハードウェアウォレット」「ペーパーウォレット」が存在する。
【ホットウォレット】
◆ウェブウォレット
◆モバイルウォレット
◆デスクトップウォレット
ホットウォレットはインターネット上に作られたウォレットで、インターネット環境であれば、すばやく簡単に利用できる利便性がある。ただし常時インターネット上に置かれているため、ハッカーが盗める環境下にある。この点を留意する必要がある。
【コールドウォレット】
◆ハードウェアウォレット
◆ペーパーウォレット
逆にコールドウォレットは、インターネットからは切り離されたウォレットで、セキュリティ面では非常に信頼できることがメリットだ。しかし、紛失したり物理的に壊れてしまうと仮想通貨が取り出せなくなることがデメリットとなる。
ハッキングリスクだけを考えた場合、一番安全なのは当然、コールドウォレットである「ハードウェアウォレット」「ペーパーウォレット」の2つとなる。しかし、紛失したり物理的にウォレットが壊れてしまった場合には仮想通貨にアクセス出来なくなる。
取引所と同じ「ウェブウォレット」
「ウェブウォレット」とは、サイト運営元のサーバー内で仮想通貨を管理するウォレットを指す。「取引所ウォレット」もこの「ウェブウォレット」の1つになる。セキュリティ面は管理者によるため、どこのサービスを選ぶかが重要となる。
ウェブウォレットのメリット
ウェブウォレットではアカウント管理が容易である。メールアドレスとパスワードの登録だけで簡単にウォレットの管理ができる。不正アクセスやサイバー攻撃などの対策は運営元が行ってくれるので、利用者自身で何か特別な対策をする必要がなく手軽に始められる。
また、パソコンやタブレットやスマホなど様々な端末からウォレットを操作することができるため、使用場所を選ばず外出先で利用する際に非常に便利だ。
ウェブウォレットのデメリット
サイトに何か不具合が生じた場合に資産が凍結してしまう恐れがある。運営元がセキュリティ管理を怠った場合には不正アクセスが起きて、資産を盗まれてしまう可能性がある。また、多くの種類の仮想通貨に対応するウェブウォレットは少ないため(取引所のウォレットを除く)様々な通貨を保管したい人には不向きかもしれない。
スマートフォンで管理「モバイルウォレット」
「モバイルウォレット」は「スマホアプリ」を使って仮想通貨を管理するウォレットを指す。
モバイルウォレットのメリット
スマホがあればいつでもウォレットにアクセスすることが出来る。また、アプリでの管理はインターフェイスが見やすく管理がしやすいことが特徴だ。
そして大きな利点は決済に利用できること。国内で年々増えているビットコインを主とする仮想通貨決済。大手ではビッグカメラやソフマップなどで支払いが可能だ。店舗に備わる仮想通貨決済用のバーコードをスマホアプリで読み取ることで決済を行える。
モバイルウォレットのデメリット
モバイルウォレットは秘密鍵をスマホで管理するため、スマホの故障や不慮の初期化の際には、ウォレットにアクセスできなくなってしまう。そのため、スマホのバックアップを取ったり、復元フレーズをメモしておく必要がある。
また、インターネットに接続する以上はハッキングのリスクが0ではない。ウイルスにより秘密鍵が流出する可能性は考えられる。100%安全ではないが、ウェブウォレットよりはやや安全と言える。
おすすめウォレット
「Trust Wallet(トラスト・ウォレット)」は、大手仮想通貨取引所のBinance(バイナンス)と提携したことでも話題になったモバイルウォレット。日本語対応しており全ての仮想通貨対応を目指して開発が行なわれている。現在はビットコイン、ビットコインキャッシュ、イーサリアム、イーサリアムクラシック、ライトコイン、ダッシュ、トロンなどに対応。
Trust Wallet(トラストウォレット)公式サイト
パソコンを良く使う人には「デスクトップウォレット」
デスクトップウォレットは、パソコン上で仮想通貨を管理するウォレットのことを指す。
デスクトップウォレットのメリット
デスクトップウォレットは「仮想通貨自体の開発元」が公式にリリースしているものが多い。信頼性と安全性を兼ね備えていることが大きなメリットだ。
また固有の特徴として、膨大なブロックチェーンデータを持つフルノードのウォレットを使用して、「マイニング」ができる仮想通貨もある。ウォレット内に指定される一定以上の仮想通貨を保有するなど条件はある。デスクトップウォレットは自動で報酬を受け取れるのがメリット。
デスクトップウォレットのデメリット
パソコン上でしか管理できない事が最大のデメリット。時間や場所を選ばずどこでもウォレット取引・管理を行ないたい場合には不向き。
パソコンが壊れたり、ウイルスに感染し情報が流出する可能性が無いとは言えないので注意が必要。万が一に備えて秘密鍵を予め保管しておくことで危険な事態を回避することができる。
おすすめウォレット
「MyEtherWallet(マイイーサウォレット)」は、イーサリアムやイーサリアムクラシックをはじめ、ERC20トークンを管理できる。663種類のぼる全てのイーサリアムトークンに対応している。
[clink url=”https://tradebitlab.com/20190206/”]
持ち運びやすく高い安全性を備える「ハードウェアウォレット」
ハードウェアウォレットは、仮想通貨の管理に必要な「秘密鍵」を「専用端末」に保存し、インターネットから切り離して保管する方法を指す。
代表的なハードウェアウォレットに「LedgerNanoS」、「Trezor」、「LedgerBlue」などがある。これらの専用端末はUSB端子でパソコンに接続して操作をする。
ハードウェアウォレットのメリット
ハードウェアウォレットは秘密鍵をオフライン(インターネットから切り離した)状態で管理するため、ハッキングリスクを避ける非常に高い安全性を誇る。デバイスをパソコンに接続するだけで自身のウォレットを安全に管理できる。また、対応する仮想通貨の種類も多い。
ハードウェアウォレットのデメリット
ハードウェアウォレットは物理的なデバイス(ウォレット本体)を購入する必要がある。通常、本体価格は1万円以上で販売されることが多い。仮想通貨の保有枚数が少ない人の場合、この価格のウォレットを購入するメリットがあるかどうかを考えたいところ。
また、操作に慣れるまでに時間が掛かるのと、仕組みを理解して管理しないと資産が取り出せなくなる可能性がある。利用する前に基本的な操作方法を知っておく必要があり、容易に始められないのがデメリット。
ハッキングの可能性がない「ペーパーウォレット」
ペーパーウォレットは、アドレスと秘密鍵を「紙」に印刷して保管する方法を指す。
ペーパーウォレットのメリット
ハードウェアウォレットとの大きな違いは、コストがかからない点にある。ペーパーウォレットの場合、初期費用0で安全に資産を保管することができる。
また、ハードウェアウォレット同様にオフライン状態で管理するため、手書きのメモを安全に保管している以上はハッキングされる恐れが全くない。
ペーパーウォレットのデメリット
秘密鍵やアドレスを印刷した紙を汚したり紛失してしまうとウォレットにアクセスできなくなり、資産を失うリスクがある。また、オフライン状態で資産を管理しているので、資産を動かす場合はインターネットに接続し秘密鍵を読み取るなどの手間がかかる。資産を動かしたいときに即座に動かせないので、送金や決済を頻繁にしたい人には不向き。
ウォレットの仕組み
「ウォレット」は保有している仮想通貨を保管すると同時に、 仮想通貨を取引する上で必要な「公開鍵・秘密鍵・アドレス」の管理も行っている。
「公開鍵・秘密鍵とは暗号化技術の1つで、仮想通貨ではこの2つの鍵と「アドレス」を用いて送金が行われる。「公開鍵」は元になる文章の暗号化を行い、「秘密鍵」によって解読する形になる。
「秘密鍵」→暗証番号
「公開鍵」→身分証明書
「アドレス」→口座番号
「アドレス」は「公開鍵」から作成され、「アドレス」を使用することで仮想通貨の入出金や決済が行える。3つは秘密鍵→公開鍵→アドレスという順番で作成されるため、「秘密鍵」は絶対に自分以外の人に知られてはならない。
もし「秘密鍵」が知られてしまうと、自分の保有している仮想通貨を盗まれてしまう可能性がある。
用途に合った信頼できるウォレットで仮想通貨の保管を
仮想通貨のウォレットについて説明してきたが、仮想通貨を多額に保有している人はそれぞれのウォレットを用途に応じて使い分けることが重要になる。
大手取引所だとしても、ホットウォレットに仮想通貨を保管していたことでハッキング被害に合うケースが続出している。
仮想通貨のリスクをウォレットで分散、軽減し、より良い資産運用を行なおう。